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ひきこもり戦闘団

【祭:D-DAY】『JUNE '44』のこと

 『JUNE '44』はDDH Gamesのオリジナルを所有している。通販で購入したのだ。本当かどうかは知らないが、もともとVPGで出版される予定だったらしいが、同社の社長と一悶着あって、独自のブランドを立ち上げたという。その心意気を買ったのだ。

 タイトル通り、連合軍がノルマンディ海岸に上陸した1944年6月の戦いを師団規模で扱った作品。基本的に両軍が移動と戦闘を繰り返すオーソドックスなシステムだが、連合軍には補給による攻撃回数の制限があることと、戦闘は原則1ヘクス対1ヘクスで行われること、カードによる意外性が付加されていることが特長としてあげられる。

 早速何度か対戦したが、まあ、普通に面白かった。と微妙な評価なのは、ゲーム・システムで面白く感じさせているのはわかるが、シチュエイションの面白さが感じられなかったからだ。

 当然と言えばそれまでだが、6月の戦いはボカージュの戦いである。戦線はなかなか動かず、いかに効率的な部隊配置をするか、いかに有利な修正を得られるようにするかが焦点となり、対戦の醍醐味を味わえなかった。人によって優先順位はあるので一概に言えないが、よくよく考えると最適解がそんなにないので、「そうだよな、そうくるよな」と、だいたい予測の範囲内の展開となる。その閉塞感を打破しているのがカードの存在だが、(これも使いどころで個性が現れるとは言え)あくまでランダムな要素。対戦相手の思考であったり計画とは別のものである。

 しかし、6月で切りたくなるのもわかる。ドイツ軍が連合軍を海に追い落とせるとしたら、そこまでだからだ。7月、そして8月になれば、ドイツ軍は「いかに負けるか」を考えるしかなくなる。あるいは、勝利条件上の勝利に固執することになる。

 実はこちらのほうがゲーム的処理になるが、だから『JUNE '44』に『AUGUST '44』を足したほうが面白くなる。両軍とも7-8月を見越した戦いを強いられるため、より戦略的な判断が求められるのだ。時間的、空間的余地が広がったことで選択肢が広がり、駆け引きも楽しめる。

 先日、久しぶりにキャンペーン・ゲームを対戦したが、これが実に楽しかった。序盤、連合軍はダイスの目がふるわず、コタンタン半島で足止めを食らっていたが、ドイツ軍が調子に乗ってイギリス軍橋頭堡に対して反撃に出た時から潮目が変わり、突出したドイツ軍を捕捉、撃滅し、『JUNE '44』の期間中に連合軍ユニットが『AUGUST '44』のマップへ突破する事態に発展したのだった。連合軍プレイヤー(筆者)は、時間を犠牲に空間を得ようとし(この時の「空間」は敵戦力を指す)、ドイツ軍プレイヤーは空間を犠牲に時間を得ようとした。そのバランスが悪かったのだ。

 Dデイは、大陸反攻の先駆けだったわけだから、1944年西部戦線キャンペーンとセットで捉えるべきかもしれない。実際にプレイするとなると大変な作品揃いではあるが。



# by kghikkie | 2010-11-09 13:06 | コマンド・マガジン

Operation Jubilee (S&T#265)

 かつてのブームの末期に、『RAF』や『パットンズ・ベスト』がライセンス生産されたことを考えれば、その需要がないとは思えないのだが、「コマンド・マガジン」にしても「ゲーム・ジャーナル」にしても国産ソリテア・ゲームを開発していない(と、記憶に頼って書いている)。しかしアメリカでは、Decision Gamesを中心に、ここ数年、定期的にソリテア・ゲームがリリースされている。WaW誌の『Coral Sea』、ボックス入りの『D-Day at Omaha Beach』に『RAF』、そしてS&T誌最新号の『Operation Jubilee(ジュビリー作戦)』である。

 『ジュビリー作戦』は1942年に行われ、大失敗に終わった英連邦軍によるディエップ強襲作戦をテーマにしている。プレイヤーは英連邦軍を指揮し、ドイツ軍はゲーム・システムによって動く。そのシステムは、第1、第29歩兵師団のオマハ海岸上陸を描いたソリテア・ゲーム『D-Day at Omaha Beach(DDOB)』の簡略版だが、ディエップ強襲とノルマンディ上陸、二つの上陸作戦の違いがゲームにも反映されている。

 ジュビリー作戦失敗の要因として、上陸前の砲爆撃を怠ったことがあげられる。その理由として、奇襲上陸にしたかったこと、そして当時、戦場上空はドイツ空軍の制空権下であったことから、英海軍が支援に積極的でなかったことがあげられる。その結果、ドイツ軍の防備は十分で、DDOBがとりあえず海岸までは安全に上陸できるのに対し、『ジュビリー作戦』は上陸艇に載っているうちから危険が一杯である。具体的に言えば、上陸部隊はまず洋上を表す「ビーチ上陸ボックス」に置かれ、そこからビーチへ移動するわけだが、DDOBではそこにいる部隊は原則として的にならないのに対し、『ジュビリー作戦』では格好の標的となる。

 奇襲効果に期待をかけた上陸だったが、これは不運にも、イギリスの特殊部隊を運ぶ上陸艇がドイツ軍の沿岸船団に遭遇してしまい、一部が引き返してしまった。そのため、計画の一部を変更せざるを得なくなった。こうしたアクシデントを再現するためのルールも用意されている。

 ドイツ軍のアクションはチットを引くことが決まる。引かれたチットが示す色のポジションにいる全てのドイツ軍ユニットは射撃を行い、目標がいなければ海岸に近いポジションへと移動を行う。殆どのヘクスには、最寄りのドイツ軍ポジションを示す射撃ドットが印刷されていて、活性化したポジションと同色のドットが印刷されたヘクスにいる英連邦軍ユニットは、射撃を受けることになる。ヘクスによって射撃ドットの色、数が異なる。もちろん多いほど射撃を受ける確率が上がるので、いろんな色の射撃ドットを含むヘクスに前進するのは覚悟が必要となる。

 アクション・チットには標的シンボル(◆▲●)が印刷されており、射撃を受けた英連邦軍ユニットが同じ標的シンボルを持っていると、より「ヒット」を受けやすくなる。また「A(機甲ボーナス)」があれば、チャーチル戦車ユニットにもヒットする。

 英連邦軍ユニットは、基本的に移動か戦闘のどちらかを行い、ドイツ軍と異なり隣接ヘクス戦闘がベースである。ドイツ軍ユニットとの戦闘力の比率、ドイツ軍ユニット及びデプス・マーカー(戦闘準備状態を表すマーカー)の要求戦術を満たしているかどうかで戦闘結果が決まる。ダイスは振らない。本作の要求戦術は「重火器」と「側面攻撃」の2種類だけだが、DDOBでは「バズーカ」「ブローニング自動小銃」「無線機」など、必要とされる武器の種類が多くなっている。

 戦車(チャーチル)ユニットのみ、2ヘクス以上先への砲撃を行えるが、ディエップ正面に築かれた戦車防壁を破壊するまで実質的な戦力にならない。艦砲射撃を行っていれば当然これは破壊されたが、史実同様、厄介な障害物である。ランダム・イベント発生時に工兵が戦車防壁に取り付いていれば爆破できるが、そうでない限りはチャーチルの前に立ちはだかり続けるのだ。

 ゲームは英連邦軍が攻勢状態であることを示す「上陸モード」から始まり、英連邦軍が一定の戦果をあげるか一定のターンが経過すると「退避モード」へ移行する。勝敗は目標ヘクスの破壊により得られるVPと、脱出に成功したステップ数の合計で判定される。脱出は上陸とは逆の手順を取り、ビーチ上陸ボックスで1ターンを過ごすので、逃げ出す寸前にもう一度射撃を受ける可能性があり、ステップを失うかもしれない。よって、単にVP目標ヘクスを狙うだけではなく、脱出のことも考え、ある程度のドイツ軍ポジションを破壊しておかなければならないのだ。

 勝利段階には5段階あり、史実の結果は最低の「作戦的大敗北」。普通にやれば相当な苦戦が予想される戦場だが、それ故にソリテア・ゲーム向きのテーマとも言える。

(続く)



# by kghikkie | 2010-10-18 13:25 | Strategy & Tactics

Island War: Saipan / Tenian

 筆者は高校生の頃からウォーゲームを本格的に始め、もっぱら『Air War』(SPI/HJ)ばかりプレイしていたが、実は中学生の頃にウォーゲームをデザインしたことがある。デザイン、なんて偉そうに言えるものではなく、それは方眼紙と工作用紙で作った紙製の戦争ゲームで、硫黄島の戦いをテーマにしたものだった。「ホビージャパン」に掲載されたウォーゲーム関連の記事を見て、「ウォーゲームとはこういうものなんだろう」と勝手に想像して作ったものである。

 工業力でも科学力でも圧倒的なアメリカ軍に対し、日本軍が精神力で敢闘したところが子供心にぐっときて、硫黄島ゲームなんてものを作ってしまったのである。ああ、若気の至り。当時もし、SPIの『Island War』クワドリや、Legion Wargamesの『Island War』シリーズが入手できる環境にあれば、また自分のゲーム人生も違ったものになっただろう(いや、変わらないか)。

 30年前の当時から、島嶼戦はマイナー・テーマであった。戦いの性質を考えるとそれも当然、戦略レベルで見れば上陸侵攻された時点で負けは確定だし、作戦レベルでも、増援を期待できないデッド・エンド、侵攻軍を海に追い落とせるはずもない。とすれば戦術的にどれだけ頑張れるか、史実より米軍の損害が多いか少ないかで勝敗を判断するしかなく、ウォーゲームのテーマとして、敢えて島嶼戦を選択する必然性が薄いのである。

 なるほど「タラワ」や「サイパン」そして「硫黄島」のソロプレイ・ゲームが発売される理由もわからないではない。島嶼戦の性質上、プレイヤーが日本軍を受け持つ意味合いが小さく、ならばゲーム・システムに落とし込んでしまうのが相応しい。どうしても競技性を求めたいなら、『Starship Troopers(邦題:宇宙の戦士)』(AH、もちろん76年版)で疑似体験するのが吉というものだ(異論は認める)。

 というくらいにニッチなマーケットに、どういうわけか最近、新作が続々投入されている。『Pacific Islands Campaign』シリーズの『Guam』『硫黄島』、そして『Saipan / Tenian』(GSI)に、Legion Wargamesの『Island War』シリーズの『Saipan Tenian』である(これに以前からアナウンスされているサンセット・ゲームズの『孤島の戦場』が加われば、三つどもえだった)。

本気度の高い『Island War』

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 『Pacific Island Campaign』はDTPゲームだが、『Island War(IW)』はボックス・ゲームである。しかもカウンターの打ち抜き精度が高く、カッターやハサミを使う必要がない(WWSのカウンター・シートより繊細だ)。

 コンポーネントはサイパンとテニアンのマップが1枚ずつ、両軍のプレイヤー・チャートが各1枚、ターン記録チャートが各1枚、図表類が2枚、カウンター・シート(15mm角)が3枚。ルールブックはシリーズ共通のスタンダード・ルールと、サイパン用、テニアン用の専用ルールブックが1冊ずつセットされている。豪華だ。

 コンポーネントが本気(と書いて「マジ」と読む)ならゲーム・システムも本気だ。決してプレイできないわけではないが、中隊〜大隊スケールのウォーゲームとしては、十分な「解像度」を持っていると言える。

 サイパン、テニアンとも日本軍が守る島へ米軍が上陸侵攻することとなる。日本軍ユニットは全て隠匿面を持ち、一定条件が満たされるまで発見されることはない。平地を移動すると発見されるが(それ故、夜間以外はじっとしておくのが賢明)、米軍が航空支援ポイントを偵察に振り分けると、それで見つかるかもしれない(しかし要塞に隠れているユニットは見つからないので、立てこもっておくのが得策である)。

 米軍は1ゲーム・ターン先に上陸侵攻を計画する。どこにどれだけの兵力を送るのか、そしてその兵力を突撃ウェーブ、突撃予備ウェーブ、予備ウェーブの3波にどう配分するのかを決める。突撃ウェーブに割り当てられたユニットは移動フェイズに上陸し、同一または隣接ヘクスに日本軍がいれば、これに突撃戦闘を行う。突撃予備は移動または戦闘フェイズ後に行われる展進フェイズで、予備ウェーブは展進フェイズに上陸できる。突撃ウェーブで海岸堡を築くことができれば、後続が展進フェイズに上陸、さらに海岸堡を拡大できるわけである。

 さすがに上陸侵攻がテーマだけに、上陸に関するルールは詳しい。

 上陸には敵前上陸と無血上陸とがあるが、いずれの場合も混乱チェックが必要となる(当然、後者のほうが混乱する確率は低い)。上陸地点が日本軍の沿岸防御(CD)の射程かつ射界内であれば不利な修正が発生する。そこで事前の艦砲射撃により、これらを無効化しておく必要がある。なおCDユニットは海岸ヘクスで行われる戦闘を、砲兵同様に支援できる。

 水陸両用車両であるアムトラックやDUKW、水陸両用戦車には相応のルールが用意されている。重装備は上陸艇で運ばなければならないが、浅海が続くと上陸時の混乱チェックで不利な修正を受けるため、上陸地点が制約される。

 シークエンスは1)イニシャル・フェイズ、2)弾幕射撃フェイズ、3)移動フェイズ、4)戦闘フェイズ、5)展進フェイズ、6)夜間展進フェイズ(PMターン、日本軍のみ)。弾幕射撃フェイズでは砲兵、艦砲射撃、航空機が単独で攻撃を行える(テニアンではナパーム弾を装備したP-47が登場する)。移動においてはZOCは離脱時のみ影響し、ZOCからZOCへの直接移動も行える。オーバーラン攻撃も可能。戦闘フェイズでは、隣接ヘクスに対して射撃戦闘または突撃戦闘を行える。射撃戦闘は敵のステップを削るために行うが、効果は薄く、また反撃も受ける。突撃戦闘は通常の戦闘で、戦闘比を用いて解決。各種ダイスの目修正(DRM)の影響が大きく、リスクが高い。

 意外にも、IWシステムでは予備が重視されている。自軍イニシャル・フェイズに予備に指定したユニットは、敵軍戦闘フェイズ中に移動して防御力を高めたり、展進フェイズに少し多めに動けたりする(通常、機械化以外の兵科は1ヘクスしか移動できないが、予備にすることで1/4移動力を使用できる)。

 もう一つ重視されているのが「火力」で、砲兵が大事である。特に要塞にこもる日本軍は簡単なことでは追い出せないので、弾幕射撃で混乱させ、支援射撃つきで突撃戦闘を行う必要がある。兵に余裕があるからと、雑な攻撃を繰り返していたら、たちまち損害を重ねるばかりとなり、米軍の勝利は遠のいてしまう。

 そう、冒頭でも書いた通り、IWシリーズの勝利条件も米軍の損害で判定される。が、「戦闘能力低下」という面白い概念が導入されている。これはユニットが一定数の損害を受けると戦意を喪失したものと見なされ(裏面を向ける)、様々な罰則を受けるというものだ。ならば、「被害担当部隊」を決めて損害を集中させれば良いと考えたくなるが、ユニットの除去はステップの喪失に加えて損害ポイントを増加させる要因になるので、それはよろしくない。補充で回復させる見込みがない部隊は、早めに海岸堡から輸送船に撤収することで、逆に損害ポイントを減少させることができるのだ。

 確かに戦略レベル、作戦レベルでは米軍は負けない。だが戦術レベルでは、上陸侵攻のメカニズムを理解し、部隊のことを気にかけてやらないと、楽に勝つことはできない。ホランド・スミスなり、ラルフ・スミスなりがサイパン戦で直面したのと同じ課題を、マップ上に見出すことができる。

 一方の日本軍はどうか。全体としてはなるようにしかならないが、プレイヤーは歴史を知っている。硫黄島での抵抗に倣い、史実での水際撃滅の愚を反省して、また安易な万歳突撃を禁じ、与えられた状況の中でベストを尽くすべきではないか。

 史実を知る両者が、最善を尽くして戦えば、新たな発見が見られるかもしれない。ルールブック(英文で24ページ)を読み終えた筆者は、リビドーの発露を求めた。思えば、赤本(サンケイ第二次世界大戦ブックス)の『硫黄島』を読んだ時も、抑えようのない衝動に駆られ、そしてその時はゲームをつくったのだった。

(続く)



# by kghikkie | 2010-10-15 12:48 | Legion Wargames

リクシル・ベイスターズ...orz

住生活G会長、組閣待った!尾花監督続投に「白紙」…横浜
 何かもう、いろいろがっかりだよ! 『Island War』(Legion Wargames)の紹介記事を書く気が起こらん! 関係ないけど!



# by kghikkie | 2010-10-13 16:24 | 野球

East Front Battles: Prohorovka(World at War第13号)(2)

East Front Battles: Prohorovka(World at War第13号)(2)_e0203305_13522792.jpg

プロホロフカの神話

 EFB(イースト・フロント・バトルズ)シリーズの『Guards Tank: Prohorovka 1943』は、タイトル通り1943年のクルスク戦がテーマ。「ガーズ・タンク」という主題通り、第5親衛戦車軍と第2SS装甲軍団の戦いに焦点が当てられている。ゲーム・スケールは1ターン=1日、1ヘクス=1マイル。

 プロホロフカの戦いは従来言われていた「大戦車戦」ではなく、ソ連軍の拙攻による自滅だった、というのが定説になりつつある。そのあたりは「コマンド・マガジン」第93号に掲載されたディルク・ブレネマンの記事に詳しい。また、書名は思い出せないが、いわゆる「萌えミリ」系の書籍か雑誌でも、そのネタが扱われていた。

 だからか、本作には不確定要素が多く盛り込まれている。まず、ランダム・イベント(「またミランダか」の声が聞こえてきそうだ)。この中に、戦車が地雷原にはまるというアクシデントが盛り込まれているが、その確率がドイツ軍よりソ連軍が高いほうが興味深い。前述の「自滅」を考慮してのことだろうか。また、ソ連軍の増援は全てランダムに登場する。軍団/師団ごとに登場判定を行い、ドイツ軍の進撃具合によって、その確率が変化する。その他、天候もランダムに変化する。例えば『独ソ戦(Russian Campaign)』のように劇的な影響は与えないが、それでも「戦場の女王」たる砲兵の運用に大きな影響を与える。こうしたランダム性により、巷間言われているような大戦車戦が発生することも、各個投入各個撃破でソ連軍が自滅することもあり得る。

 さて、筆者はドイツ軍を受け持たせてもらい、対戦に臨んだ。ドイツ軍のSS3個師団が最初の陣地線に突入するところからゲームは始まる。勝敗は勝利得点で判定され、敵軍ユニットの除去と重要地点の支配が得点源。そのため、ドイツ軍は細長い戦場を南から北へと駆け上がらなければならない。一方、ソ連軍は陣地を奪い返すことでも得点できるので、増援を使ってドイツ軍が通り過ぎた陣地を狙える。

 第一陣地線は、圧倒的な兵力差であっさり突破(上写真)。一部の部隊を取り逃がすも、捕捉、撃破した。

East Front Battles: Prohorovka(World at War第13号)(2)_e0203305_13401555.jpg

 そこから先は、ドネツ川が戦場を東西に二分する。工兵がいない限り渡河には1ターンかかるので、計画的に部隊を配分しなければ、東岸に渡った部隊がソ連軍の増援による反撃を受けてひどい目に遭わされることになる。思いの外、第一陣地線を楽に突破できたので、ドネツ川の先端まで主力は西岸を進み、そこでぐるりと旋回して、後続部隊とともに東岸のソ連軍を挟撃することとした。

 しかし、である。先頭を行く第3SS装甲師団のパンツァー・カイルにカチューシャをはじめとする砲火が集中、混乱状態に陥り、突進力が鈍ってしまった(混乱からの回復には時間がかかる)。ならばと、こちらは「空飛ぶ砲兵」でうるさいソ連軍砲兵を沈黙させたいところだが、あいにくの天候でそれもままならない。対岸の砲兵陣地を潰さなければ北進は困難と判断、計画を変更してドネツ川を渡り、第二陣地線を攻撃することとした。

 第1SSが、第2SSが、ティーガーを先頭に立ててソ連軍陣地を襲う。ソ連軍のロケット砲が大地を揺るがし、ドイツ軍の榴弾砲がそれに応える。ソ連軍の戦車軍団が来援し、局地的な反撃も始まった。

East Front Battles: Prohorovka(World at War第13号)(2)_e0203305_1359569.jpg

 どうにか力押しで第二陣地線からソ連軍を追い出したところで、対戦相手の都合で時間切れとなってしまい、ゲーム半ばにして強制終了となった。が、このまま続けていても、ドイツ軍の勝利は難しかったように思う。プロホロフカまではたどり着けるだろうが、ソ連軍の抵抗も激しくなる。それに序盤のユニットの密集具合が嘘のように、終盤にかけて密度が薄くなる。第一、第二陣地線を奪い返されるのは必定だった。

チーム・プレイがおすすめ

 ルールは簡単だが、EFBシステムは思いの外、手間がかかる。特に砲兵の運用。しかし攻撃側にせよ防御側にせよ、砲兵の役割は大きいので、適当に扱うことはできない。今回の対戦でも、ドイツ軍の攻勢の勢いを止めたのは、ソ連軍の砲兵だった(上写真、突出した第2SS主力は、砲兵とソ連軍戦車の反撃を受けて壊滅した)。

 特に『ガーズ・タンク』は両軍に大兵力が登場するので、一人で砲兵を管理するのがなかなか大変で時間がかかる。とすれば、フォーメイションごとに一人とか、複数人で負担を分担すれば、より正確な、つまりはデザイナーが意図した展開になるだろう。

 本作に関して言えば、戦場が南北に細長くて機動の余地がなく、両軍とも作戦的な選択肢は多くない。ソ連軍は、増援をどこに登場させるかというオプションはあるが、ドイツ軍は基本的には一直線に進むしかない。となると、いわゆる「駒さばき」が要点となる。どこに何を置いて、どのルールを使ってより効率的な戦闘を行うか、という、人によっては敬遠されるアレである。もっとも、EFBは作戦戦術級ゲームであり、駒さばきとは戦術的部隊運用を指すわけで、ゲーム的過ぎるとは感じなかった。

 本作だけでEFBシステムを評価するのは難しいが、作戦的要素を持った戦術級ゲームに興味があるユーザーなら楽しむことができると思う。逆に戦術的要素の濃い作戦級ゲームを好むプレイヤーには、ランダム性が強すぎるし、作戦的手腕を発揮する余地が小さいので物足りないかもしれない。

 次回作は両軍の性質がはっきり異なる41年のミンスク戦ということで、個人的には本作よりも期待が大きい。



# by kghikkie | 2010-10-09 15:07 | World at War
時々原稿を書かせてもらっている、ひきこもりゲーマーの戦闘日誌
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